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  • 執筆者の写真灯里

3月11日 勾玉3部作・その3『薄紅天女』

更新日:2019年9月19日


本日はついに勾玉3部作の最後の1冊!

荻原規子さんの勾玉3部作シリーズの3冊目

『薄紅天女(うすべにてんにょ)』をご紹介しますよ~


まずは恒例の表紙紹介ね♪


読んでいた当時は知らなかったんですが、この3作目は更級日記(特に竹芝伝説)とアテルイ伝説をモチーフにしているんだそうです。アテルイ伝説のアテルイとは人の名前で、正確にわかっているのは平安時代初期の蝦夷の軍事指導者ということだけ。蝦夷討伐の史実において、坂上田村麻呂が偉大な将軍として古代から中世にかけて様々な伝説を残したのに対し、アテルイはその後の文献に名を残さない。これに伴って、アテルイ伝説として様々な説があるのですが、いまだわからないことが多いのです。




ちなみにもう一つの竹芝伝説はこんな感じのお話。


『 更級日記の竹芝伝説。

私(筆者)が、武蔵国に入ったところ、竹芝という寺があった。 その寺の起源を古老に聞くと、

「むかし、このあたりの男が、都で御所のかがり火をたく役をしていた。 庭を掃きながら、故郷を恋しがって歌を歌っていると、 これを聞いた皇女が、興味を持ち、男に 『おもしろそうなところだね。私を連れて行きなさい』と言った。男は驚いたが、これも前世の約束かと思い、姫宮をおぶって風のように武蔵国に飛んで帰った。


御所では姫がいなくなったので、大騒ぎ。この男が犯人だとわかったので、追っ手が武蔵まで来た。すると姫が出てきて『私はここで、とても満足して暮らしています。 この男を罰して、私にどうしろと言うのか?』と言うので、 しかたなく、朝廷も男に武蔵国を預けることにした。

男は立派な屋敷を姫のために建てた。 姫が亡くなってから、屋敷を寺にしたのが、この竹芝寺だ。 姫の子孫は『武蔵』という姓をもらった。」と語った。 』




前の2作からぐっと時は進み、神話の時代から人の生きる身近な歴史の流れに繋がってきます。全く知らない遠い地の山の湧き水が、川を流れ海を渡り自分のもとに流れ着くような、そういう時間のつながり方をこの3部作を通して読むことで感じ取ることができますよ!


薄紅天女の本編は、ここまでの2作と比べるとはるかに良く知った言葉のでてくる

社会の授業的な身近な時代になってきます。


奈良時代末期、坂東は武蔵の国。別名は武州(ぶしゅう)、今の東京・府中市や国分寺市あたりが物語の最初の舞台。そしてラスト三冊目は男の子二人のW主人公です。



Wiki先生のあらすじ~


奈良時代末期、坂東は武蔵の国に、大王の子孫と伝えられる竹芝の家があった。竹芝の一族である阿高(あたか)と藤太(とうた)は、同い年の甥と叔父で双子のように育ち、村人たちからは二連(にれん)と呼ばれていた。


しかしある日、藤太の隠し事が阿高に知られて喧嘩になる。家を飛び出した阿高は北の地から来た蝦夷の男たちと出会い、成り行きのまま母の故郷である蝦夷の地へ向かう。一方の藤太も、密命を持って坂東を視察していた坂上田村麻呂と共に、阿高を追って北へ向かう。


同じ頃、京の都には怨霊が跳梁跋扈し、皇太子である安殿皇子まで脅かしていた。安殿皇子の実妹である苑上(そのえ)は、兄を怨霊から護るため、男装の麗人藤原仲成とともに「都に近づく更なる災い」を阻止しようと都を出るが……。




W主人公と言いつつもですね、メイン主役は阿高という男の子です。阿高は無口で不愛想で、どこか達観したような雰囲気を持つ男の子。女嫌いではないけれど、何を話したらいいのかわからないので無視してしまうことも多く、女性から見ると女嫌いに見えるという感じ。でも内面は落ち込みやすくて立ち直りにくいという、ちょっとめんどくさい繊細ボーイです(笑)隠れた出生をもち、特別なちからを持った子なんですね。

対して藤太は明るく愛想の良い無自覚の天然たらし。双子のように育ちますが、ある時彼の生い立ちの理由がきっかけで道を違え、阿高を取り戻すべく彼を追いかけていくのです。


そして一人生まれ故郷をでていった阿高が旅の途中で出会うのが、本作の女性主人公・苑上(そのえ)。

この娘がまた、すーごい気が強くて活発なおてんば娘なんですけど、めっちゃ応援したくなるんですよ!

実はわけあってはじめは男の子として阿高と出会うんすが、激ニブの阿高はずーっと気づかないんです。。

だんだんと気づいていくその過程もね、ニヤニヤがとまりませんよ!!


史実に基づき、実際の歴史に名をはせた人たちと、架空のキャラクターが混在するので

三部作の中では一番歴史的な香りがする分だけ少し難しめな印象を受けるかもしれませんが、

まぁその辺は全然知らなくても。ファンタジーとして読める読み物なので、2冊目まで読んだなら

ぜひこれは読んでみるべきです!超大作のフィナーレをぜひ味わってほしいです。


3冊まとめて、すっごくお気に入りのファンタジー小説です★



灯里






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